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禁断兄妹

第53章 由奈~終わりの始まり~


「それとね。どうでもいい女だなんて、自分を貶めなさんな‥‥」


和虎君が頭を撫でる手を優しく弾ませる。


「あんた綺麗になったわ‥‥今日久しぶりに会ってびっくりした。恋してるせいね‥‥」


「‥‥っ、恋だ、なんて‥‥」


ただ身体だけの関係

誘うのはいつも私
私がメールしなければそれで終わる。

でも
終わらせることができない

そばにいたい

想いは増すばかり


「どんな恋の形でも、アタシは否定しないわ‥‥」


応援もしないけどね、と悪戯っぽく笑いながら
目の前に三杯目のグラスが静かに置かれた。


「‥‥前にね、柊兄のアパートに行ったら、あんたが作ったっていう惣菜、冷凍庫に色々入ってた。定期的に作って持たせてるんだって?柊兄、ちゃんと食べてたよ‥‥」


その言葉に
ぐちゃぐちゃに乱れた胸の中
綺麗に箸を使う柊君の姿が
しん、と浮かび上がる


「それがあんたの恋の形なのね‥‥」


私は声をあげて泣いた。

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