禁断兄妹
第54章 由奈~終わりの始まり②~
「‥‥酒の匂いがする」
ドアを開けた私に修斗が眉を寄せた。
「だから飲んで帰って来たばかりだって、さっき言ったでしょ‥‥」
和虎君の店からマンションに帰ってきてすぐ
今から行ってもいいかといつもの電話。
今日は会いたくなかった。
でも修斗とタイミングが合ったのは久しぶりだったし
会える時には会っておかないと間を置かずに又やって来かねない。
「ほら上がって」
鍵をかけようと伸ばした私の手首を修斗の視線が追う。
ひじの上まで袖をまくり上げた腕を辿りながら
「また痩せた‥‥」
小さく呟いて私の目を捉えた瞳が僅かに細くなり
動かなくなった。
赤い目に気づいたんだろう
私はまくった袖を直しながら背を向けた。
「じろじろ見ないでよ‥‥」
立ち尽くす修斗を玄関に残して歩く背中に
乱暴に靴を脱ぐ音が聞こえた。