禁断兄妹
第54章 由奈~終わりの始まり②~
キッチンの冷蔵庫から缶ビールを取り出して修斗に掲げて見せると
無表情で首を振る。
「ふらついてますよ。まだ飲むんですか」
「明日はオフだし、別にいいでしょ‥‥」
私の一本だけを手にして戻ると
立ったままの修斗がテーブルの上に何か放り投げた。
堕ちた清純派
扇情的な言葉が躍るそれは
人気女性アナウンサーと柊君の密会を報じる記事が載った週刊誌だった。
「‥‥なんだ。お土産かと思ったのに」
私はベッドの上に腰を下ろし
ビールに口をつけた。
「数日前から店頭に並んでます‥‥中を読みましたか?」
いつもの冷ややかな声
「ううん。興味ない」
本当は事務所のオーナーに発売当日に見せられていた。
修斗は雑誌を手に取った。
「‥‥一ノ瀬柊は火遊びの相手に事欠かない。同年齢の人気女性モデルYが住むマンションに出入りしているという噂もある‥‥」
淡々と読み上げると
修斗はそのページを開いたまま再びテーブルに放り投げた。
「このYは、嬢のことじゃありませんか?YUNA名義で雑誌に出ている今人気のモデルで、一ノ瀬柊と同年齢だ」