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禁断兄妹

第54章 由奈~終わりの始まり②~


「最近カシラと会ってないから、ここにいらしたんですよね?この部屋の予約が入ってるのは二十一時ですし、ゆっくり話でもしていって下さいよ。カシラも喜ぶと思いますんで」


喜ぶとはとても思えなかったけれど
私は黙って頷いた。


「カシラが来たら、お連れしますから。飲み物のお代わりとか、何かありましたら、そのボタンを押して下さい」


「うん、ありがとう‥‥あ、そうだ待って!」


部屋を出て行こうとしたツトムさんを呼び止めた。


「去年の誕生日、ありがとうね。バースデーカードを選んでくれたの、ツトムさんなんでしょう?すごく可愛くて、二十歳の記念に今も部屋に飾ってるの」


可愛いウサギのカード
二十本のバラとピンクのケーキ
あれからもうすぐ一年が経つ。


「俺は何もしてません‥‥」


ツトムさんは肩をすくめた。


「え‥‥?修斗はツトムさんに買いに行かせたって‥‥」


「嬢に関する金や指示は会長から出てるのかも知れませんが、手配するのは全部カシラです。それは昔から変わりません」


―――ツトムに買いに行かせました―――

素っ気ない声が耳に甦る。


「嬢は本当に、知らないことだらけですね‥‥」


ため息混じり
それはどこか憐れみの色を帯びていた。


「‥‥言って散る花ならそれまでだし、知ってホトケでいられないなら、バカにでもクズにでも、なればいいのに‥‥」


苦笑いを浮かべ
ふふっと肩を揺らす。


「ちなみに嬢のお誕生日のその日は、ご自分の運転で一人で嬢のとこへ向かわれて‥‥帰ってきたカシラは、荒れてましたよ」


ツトムさんは再び一礼すると
静かに部屋を出ていった。

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