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禁断兄妹

第54章 由奈~終わりの始まり②~


「ありえないわ‥‥手を上げられたこともないのに‥‥」


七年近く側にいて
一度だって

あの日まで
本気で怒られたことさえなかったのに


「最近のカシラを見てきた俺達にとっては、そう考えても不思議じゃない状況でした。若頭の身になっても嬢の目付役として東京まで足繁く通ってたのに、あの記事ですしね」


俺達のカシラの顔に泥を塗った

そんなニュアンスを感じて
私は息を吐いた。


「‥‥ごめんなさい‥‥」


顔を上げ
ツトムさんの目をまっすぐに見上げた。


「私のせいで、修斗にもみんなにも、迷惑かけてたんだね‥‥ごめんなさい」


「謝らんで下さい。ご無事で本当に良かった」


ツトムさんは冗談とも本気ともつかない顔で微笑むと


「‥‥俺は、言わぬが花とか知らぬがホトケとか思わないタチなんで。色々言わせてもらいました」


そう言って
歌い終えた歌手のように胸に手を当て一礼した。

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