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禁断兄妹

第55章 由奈~終わりの始まり③~


アンティークの蚤の市みたいなところに連れていかれて
何か買わなきゃならなくて
ちょうど目についたからお前にと思って

柊君は瞳を閉じたまま
途切れ途切れ寝言のように呟く。

お前にと思って

その煌めく言葉が甘く胸を締めつける。


「ありがとう柊君!すっごくすっごく嬉しい!」


「でかい声出すなよ‥‥頭に響く‥‥」


柊君は顔をしかめると
寝返りを打って私に背を向けた。


「深い意味はない‥‥そんなに喜ばれるのは嫌だ」


「わかってるよ。でも嬉しいんだもん」


本当にお土産をくれるなんて

しかも皆に配る為に買ったお菓子とかじゃない
私にと思って買ってくれた愛らしい白ウサギ

両手でそっと包むと
その冷たさに自分の肌の熱さを知る。

胸が高鳴って
熱くて

幸せで


「私も寝ようっと」


コートを着たままベッドに飛び込んで
柊君の背中に抱きついた。


「土産を貰ったら帰るんじゃなかったのかよ」


うんざり声も愛おしい。


「ひと眠りしてから帰る」


「アホか。

 ‥‥大体なんだそのメガネ。似合わねー」


柊君

私達の関係に
微かな希望の光が見えたと言ったら
あなたは笑うだろうか

この道の先
他の誰でもなく私だけを愛してくれる日を
春を待つように
密やかに夢見る

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