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禁断兄妹

第59章 嵐の夜②


「悪いな。こんな時間に」


修斗が出ていってから十分後
穏やかな声そのままの空気を纏った柊君が
ドアを開けた私の前に立っていた。

柊君

やっと会えた


「寒かったでしょ‥‥入って入ってっ」


顔を見たら泣き崩れてしまいそうで
急いできびすを返し先に立って歩いた。

背中に感じる大好きな柊君の気配
揺らぐ足元
込み上げる涙
必死で前を向く。

会いたかった

想いのままに強く抱きつけば
なし崩しに全ての感情が溢れて止まらなくなってしまう。

人には言えない生い立ちのこと
仕事を失ったこと
とめどなく溢れてしまう。

今はそんなことを話したくはない。

柊君

やっと会えたあなたと交わしたいのは
優しい愛の言葉だけ
それだけだから

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