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禁断兄妹

第60章 嵐の夜③


ドアの向こうに消えた広い背中
靴音がゆっくりと離れていく。


「柊君‥‥」


涙が一つ頬を伝った。

止まることなく
少しずつ小さくなっていく靴音
涙が二つ三つ
そして堰を切ったように溢れて


「‥‥うっ‥‥っく‥‥」


身体の奥底から込み上げる嗚咽
息を止め
両手で唇を塞ぎ
柊君の最後の靴音を追いかける。

どんなに耳を澄ましても
もう何も聞こえなくなった時
私は崩れ落ち
獣のように声をあげて泣いた。

何もかも終わった

この世界にはもう
何もない

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