テキストサイズ

禁断兄妹

第60章 嵐の夜③


しゃくりあげながら這うように玄関から離れ
部屋へと戻った。

床の上のバッグ
掴んで部屋の隅へ投げつけた。
中に入れていた物が飛び出し辺りに散らばる。


「‥‥はあっ‥‥はあっ」


他の荷物と共に床に転がったウサギが目に入って
また涙が溢れる。

這い寄って両手で包み
胸に抱いた。


「ごめん‥‥痛かったね‥‥」


私の為に海を越えここまでやって来たウサギ
お前も泣いてるの


「ごめんね‥‥」


でも
悲しい想い出の品にはさせないから

もらった時の鮮やかなときめき
そのままに時を止めるの


「一緒に行こうね‥‥」


檻には入らない

もっとずっと遠くへ行くわ

重たいこの身体は
もういらない

ストーリーメニュー

TOPTOPへ