それでも好きな人
第9章 秘密のチケット
香苗「このプレゼントも嬉しかったけど
二人で泊まりとか…」
拓真「泊まり?」
香苗「うんっ、年末にどこか…」
温泉宿のチケット
出しやすいよう話題をふった香苗
だけど拓真は香苗が期待していた返事を
する事はなく
逆に…
香苗「どこか…温泉とか」
拓真「そうだね、でもお義母さんの事も
あるから」
香苗「お母さんなら大丈夫だよ、その時
はヘルパーさんに頼めば」
拓真「ダメだよ、親は大事にしなきゃ…
旅行はまた今度」
香苗「また…今度…」
拓真「そろそろ行こうか」
香苗「…うんっ」
温泉宿のチケット
自分へのプレゼントではなかったが
きっと誰かお世話になった人に渡す物だ
ろうと
無理やりそう信じ込んだ香苗
そう信じないと正気ではいられなかった
今の香苗は特に…
拓真「…」
香苗「…信じてるからね…拓真…」