それでも好きな人
第11章 幸せの結末
仲居「女将、これっお客様の、櫻井様の
忘れ物なんですけど」
女将「貴重品?」
仲居「いえ、だけど生もので…」
女将「大事な物かもしれないから自宅に
連絡してみるわ」
仲居「すいません、お願いします」
忘れ物などないようにと
女将からそう言われていたのに
美鈴はあろう事か一番忘れていけない
ある物を
忘れてしまった
拓真と二人で泊まった旅館
その部屋に香苗手作りのカップケーキを
そのまま…
香苗「出張お疲れ様でした」
拓真「ごめんね、年末の忙しい時に出張
なんて…」
香苗「仕事だから仕方ないわよ、お風呂
沸いてるから入ったら」
拓真「そうする」
香苗「…」
出張だと信じている
信じようとしている香苗
だけどやっぱり気になっているようで
香苗は
拓真がお風呂に入ってる間に
出張で使った鞄や財布の中などを探って
しまった
香苗「…拓真、ごめんなさい」