それでも好きな人
第15章 不慮の事故
美鈴「…」
香苗「何?」
美鈴「…ううん、何でもない」
香苗「…」
あの日感じた匂い
同じ香水なんて世の中にたくさんあるし
たまたま、偶然かと思ったが
その匂いは
日々、強くなり
いつの間にか同化していた
美鈴「…」
拓真「美鈴ちゃん?」
美鈴「…お義兄さん」
拓真「?」
美鈴「…」
確信があるわけじゃない
香苗が浮気するなんて考えられないし
その相手があの日、自分を襲った人かも
しれないなんて
そんな事…
そんな事あるわけない
絶対に…
美鈴「…あ」
拓真「?」
美鈴「そう、もうすぐバレンタインだな
って思って…」
拓真「そうだね」
美鈴「お義兄さんは甘い物苦手?」
拓真「ちょっとね、でも美鈴ちゃんから
なら食べるよ」
美鈴「本当に?じゃあ食べやすいように
甘さ控えめにするね」
拓真「ありがとう、楽しみにしてる」
美鈴「…」