それでも好きな人
第17章 罠
美鈴「…」
拓真「大丈夫?」
美鈴「ありがとう…大丈夫だよ…」
拓真「…」
服を直し
一階へ向かった二人
何かを覚悟した様子の拓真と
その反対に不安で泣き出しそうな美鈴
出来る事ならこの場所から逃げたかった
だけど逃げる事は出来ない
この現実からは…
拓真「…」
美鈴「…!?」
母「…」
美鈴「お母さん、何で…」
香苗「呼び戻したの」
美鈴「なっ、呼び戻したって…どうして
そんな…」
香苗「お母さんは信じてたのよ」
美鈴「えっ…」
香苗「美鈴の事、美鈴がそんな事しない
って、姉の夫に手を出したりしないって
信じてた」
美鈴「お母さん…」
母「…」
母は信じていた
香苗より美鈴を信じていた
美鈴はそんな事するような子じゃないと
思い違いだ
きっと何かの間違いだと
最後まで美鈴を信じてくれていた
だけど…
母「美鈴の事、信じてたのに…」
美鈴「…」
母「あなたには幻滅よ…もう顔も見たく
ない…」
美鈴「お母さん…」