それでも好きな人
第5章 葛藤
拓真「ごちそうさま、もう行くよ」
美鈴「あっ待って、私も」
香苗「…」
自分が拓真と二人で
一緒にいられるのは学校に向かう時だけ
それも
拓真が早出ではなく通常出勤の時
この限られた時間だけが
唯一の幸せだった
拓真「体の調子はどう?」
美鈴「元気だよ」
拓真「特に変化とかない?」
美鈴「うん」
拓真「…ならいいけど」
美鈴「…」
拓真が何を言ってるのか
この時、美鈴はまだ全然わからなかった
何を心配し何を考えていたのか
この時はまだ…
拓真「じゃあ勉強頑張って」
美鈴「うんっ」
義理の家族とはいえ
二人が教師と生徒である事に変わりなく
教師の中で二人の関係を知ってる人は
少なく
もちろん生徒の中に一人もいない
学校内では必要以上に
近寄れなかった