それでも好きな人
第6章 喜びと悲しみ
香苗「美鈴」
美鈴「…」
香苗「美鈴、目が覚めた?」
美鈴「…お姉…ちゃ…」
目を覚ますと
真っ白い見知らぬ天井、見知らぬベッド
ここは病院、病院のベッドだった
美鈴「ここは…病院?」
香苗「覚えてない?美鈴、階段から落ち
たの」
美鈴「階段…!!」
香苗「先生呼んでくるね」
美鈴「待って!!あっ、赤ちゃん…は…
お腹の子は…」
香苗「…すぐ戻るから」
美鈴「…ッ」
結果はわかってた
聞かなくてもわかっていた
だけど聞かずにはいられなかった
赤ちゃん
お腹の子の事
美鈴「うぅ…う…」
美鈴は泣いた
声を殺して泣き続けた
一度は諦めた命だったが階段から落ちな
がら
この子を産みたい
この子を助けたいと願った
だけど神様は許してくれなかった
子供を捨てたお前に
子供を産む資格、母親になる資格はない
そう言われたようだった
美鈴「うぅ…ぅ…グスッ…」
拓真「…美鈴ちゃん」
美鈴「!?」