テキストサイズ

華のしずく~あなた色に染められて~

第1章 【華のしずく】~出逢い~

    一

 珠々(すず)はホウと小さな吐息を洩らし、顔を上げた。蒸し暑かった酷暑の夏も漸く終わり、季節は秋を迎えようとしていた。だが、彼女を取り巻く空気には依然として夏の名残を感じさせる暑熱が含まれており、じっとしていても、躰中にじっとりと嫌な汗が滲み出てくるようだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ