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華のしずく~あなた色に染められて~

第1章 【華のしずく】~出逢い~

 父が亡くなった後、しばらくは母は惚けたように日々を過ごしていた。が、息を引き取る間際、父が「子どもらを立派に育て上げるように」と言い残したのを思い出したらしく、数日めには気丈にも組み紐を編みだした。
 元々、芯の強い女性であった。以来、泣き言は一切口にすることはなく、珠々を頭(かしら)に三人の幼子を今日まで女手一つで育て上げてきたのだ。そんな母を助けて、珠々もまたできうる限りのことをしてきた。

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