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華のしずく~あなた色に染められて~

第1章 【華のしずく】~出逢い~

 父が亡くなった当初、まだ十歳ほどの童女にすぎなかった珠々は、五歳の麻阿と手をつないで町へと組み紐を売りにいったものだ。一日足を棒にして売り歩いても、売り上げはたかが知られていた。
 それでも、家で一心に組み紐を編んでいる母のことを思い、朝は早くから夜は日が暮れるまで売り歩いた。

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