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華のしずく~あなた色に染められて~

第25章 【花屑(はなくず)~華のしずく~】

 秀継の身体が風に吹かれたようにふわりと
舞い上がる。その身体はやがて深い谷の底へと吸い込まれていった。
―秀継殿―ッ。
 寧子は絶叫した。
「寧子、寧子」
 意識が次第に浮上してくる感覚があり、寧子はうっすらと眼を開いた。気が付くと、隣に眠る良人が気遣わしげに覗き込んでいる。
「殿」
 寧子は慌てて布団の上に身を起こした。

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