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華のしずく~あなた色に染められて~

第25章 【花屑(はなくず)~華のしずく~】

 それから十日余りが経過した。その間、格別なことも起こらず、寧子は我が身の懸念が杞憂に過ぎないのではと思い始めていた。そんなある日、羽柴秀吉の宿所本仁寺で秀吉右大臣就任の祝宴が盛大に催された。寧子の良人大納言典房や関白である通房も招待され、出かけていった。
 宴が終わったのは既に夜更けを回った時刻で、典房父子もかなり酔って、上機で帰邸した。

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