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華のしずく~あなた色に染められて~

第26章 【月華―月姫(TSUKIHI)―~華のしずく~】 月華

 この国(日本)に来てはや十三年の歳月を数え、日常の会話程度なら何ら不自由することはなくなったけれど、それでも月姫はこの国の言葉をそんなに器用に操ることはできないのだ。
 月姫の父はポルトガルの商人だった。このはるかな東方の国へ妻子を伴いやってきたのが今から十三年前のことになる。父はこの国へキリスト教の布教のためにやって来た宣教師たちと共に船に乗り込み、荒波を物ともせずに日本へ辿り着いた。

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