
華のしずく~あなた色に染められて~
第26章 【月華―月姫(TSUKIHI)―~華のしずく~】 月華
妹の死によって、月姫は異国にたった一人、天涯孤独となった。後はもう夜毎、男から男へと漂い流れ墜ちてゆくばかりの日々であった。まだ二十歳になったばかりだというのに、月姫の心も身体も既に、齢(よわい)百年を重ねた老女よりも更に疲れ果て、塵芥(ちりあくた)のようになっていた。
今宵も実は裕福な商人だとか名乗る初老の男が客として登楼していた。近江からこの青龍まではるばる生糸を売りにきたという男は、月姫をまるで物でも扱うかのように荒々しく抱いた。
今宵も実は裕福な商人だとか名乗る初老の男が客として登楼していた。近江からこの青龍まではるばる生糸を売りにきたという男は、月姫をまるで物でも扱うかのように荒々しく抱いた。
