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華のしずく~あなた色に染められて~

第26章 【月華―月姫(TSUKIHI)―~華のしずく~】 月華

 女郎は所詮、欲望のはけ口と理解はしていても、あまりにも哀しすぎる現実である。月姫は事が終わった後、情事の余韻を漂わせる
ことなく、いともあっさりと大いびきをかき始めた男を一人部屋に残し、庭に出たのだ。
 冷たい夜の大気に触れただけで、汚い手で身体中を撫で回された、あの汚辱の想いが清められてゆくようであった。

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