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華のしずく~あなた色に染められて~

第26章 【月華―月姫(TSUKIHI)―~華のしずく~】 月華

 が、こんな場所にまで迷い込んでくる客がいようとは思いもしなかった。月姫が恐る恐る振り向くと、一人の若い男と眼が合った。漆黒の闇に溶け込むような黒髪、夜を集めたような深い瞳、この国の民特有の髪の色、眼の色ではあったが、何かひとめ見たら忘れられないような男であった。
 男は、女にしては長身の月姫よりも更に身の丈がある。その眼が愕きに見開かれている。

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