テキストサイズ

華のしずく~あなた色に染められて~

第26章 【月華―月姫(TSUKIHI)―~華のしずく~】 月華

 月姫は愕きに満ちた表情で、今宵の客となった男の顔を見つめていた。そう、端整な容貌のこの男こそ、忘れも得ぬ数日前の夜、裏庭でめぐり逢った男であった。信太郎と男は名乗り、武士だと言った。
 年の頃は二十五、六というところだろう。品のある物腰や上等の着物、袴から見ても、かなりの身分の侍であることは月姫にも察させられた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ