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華のしずく~あなた色に染められて~

第28章 【剣(KEN)~華のしずく~】 運命の邂逅

「一体、幾らふっかけようと思ってたんだ?」
 青年が睨むと、主はまた肩をすくめた。どうも、一々、表現が大げさな男である。
「さあね。元々、儂も通りすがりの浪人から買い上げたものだからなあ。そのお侍も知り合いから譲り受けたものだと言っておったし、実のところ、謂われも何も詳しいことは何一つ知らんのじゃよ。まあ、たいした品ではないのは確かじゃろうがな。お前さん相手なら、たいして金もなさそうだし、さしずめ金一両ってところかな」
 主は事もなげに言う。青年は思いきり眉をしかめた。

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