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華のしずく~あなた色に染められて~

第3章 【華のしずく】~夏雷~

 珠々の言葉に、信成はしばし無言であった。何か良人の気に障ることを言ったかと、珠々が訝しげにそっと信成の横顔を窺ったその時。珠々はいきなり信成に抱き寄せられた。
「殿?」
 愕く珠々をいっそう強く抱きしめ、信成は言った。
「月の姫の話などするな」
「―?」
 珠々が眼を見開いていると、信成は切なそうな表情で言った。

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