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華のしずく~あなた色に染められて~

第28章 【剣(KEN)~華のしずく~】 運命の邂逅

 今また、ゆきずりの若者がその刀をたまたま興味津々で眺めていたのを幸い、主は彼に押しつけてしまった。見たところ、何の変哲もない長刀だが、柄の部分に龍の意匠が彫り込まれており、龍の眼の部分は蒼い玉(ぎょく)が填め込まれている。そこだけが価値がありそうだと言えば言えたけれど、古びて汚れてしまった刀は、長年色んな古道具を見てきた経験豊かな古物商の勘に訴えかけるものは何もなかった。

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