
華のしずく~あなた色に染められて~
第28章 【剣(KEN)~華のしずく~】 運命の邂逅
龍伍が子どもたちの笑顔をひとしきり見渡してそんなことを考えたときのことだった。
「親分」と、荒れ寺の本堂を庭から覗いた顔があった。寺といっても小さな庵を少しマシにした程度のもので、龍伍たちは本堂で雑魚寝したり飯を食べたりしている。本堂には正面に阿弥陀様がいて、龍伍は宿礼だと称して、たまに仕入れてきた食糧―いなり寿司だとか草団子だとか餅だとかを供えていた。
今日も真っ先に大福餅を供え、あの長剣を阿弥陀様の脇に置いた。
「親分」と、荒れ寺の本堂を庭から覗いた顔があった。寺といっても小さな庵を少しマシにした程度のもので、龍伍たちは本堂で雑魚寝したり飯を食べたりしている。本堂には正面に阿弥陀様がいて、龍伍は宿礼だと称して、たまに仕入れてきた食糧―いなり寿司だとか草団子だとか餅だとかを供えていた。
今日も真っ先に大福餅を供え、あの長剣を阿弥陀様の脇に置いた。
