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華のしずく~あなた色に染められて~

第28章 【剣(KEN)~華のしずく~】 運命の邂逅

 野良犬だろう、毛並みにも艶はなく少し汚れている。雑種には違いなかろうが、見た目は柴犬に近いように思えた。利発そうな顔つきである。
 龍伍は人なつっこく近寄ってきた子犬を抱き上げた。
「お前も一人ぼっちなのか? 独りは淋しいよな」
 黒くて丸い眼が潤んでいるようだ。龍伍はいつしか子犬に話しかけていた。

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