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　同心は旗本の威光の前で、動こうともしない。龍伍は、この世の不条理を憎んだ。おそのに何の罪がある。いや、殺された何人もの娘たちは何も悪くない。気違いじみた旗本の若侍のために若い花の生命をむざと散らしたにすぎない。
　龍伍はまだおそのに惚れたとも告げてはいなかった。なのに。
　おそのは逝ってしまった。あの眩しいほどの晴れやかな笑顔を見ることは二度とできない。