華のしずく~あなた色に染められて~
第30章 【剣(KEN)~華のしずく~】 闇に喚ばれし者
そして、我が身亡き後の子どもたちの身の処し方についても、浅太がいれば、とりあえずは安心できる。子どもたちが飢えることはないだろう。
浅太は空を見上げた。今日も暑い一日になりそうだった。庭の片隅に自生している紫陽花も、この日照り続きで色褪せて萎れている。 しばらく庭に佇んでいた浅太が本堂に戻った時、本堂には龍伍の姿はなかった。子どもの一人に訊ねても、判らないという。浅太は正面の阿弥陀像まで歩いていった。見覚えのある長刀が像に立てかけられている。古道具屋から持ち帰ってからというもの、常にこの刀を肌身離さず持ち歩いている龍伍だが、珍しく今日は置いて出かけたようだ。
浅太は空を見上げた。今日も暑い一日になりそうだった。庭の片隅に自生している紫陽花も、この日照り続きで色褪せて萎れている。 しばらく庭に佇んでいた浅太が本堂に戻った時、本堂には龍伍の姿はなかった。子どもの一人に訊ねても、判らないという。浅太は正面の阿弥陀像まで歩いていった。見覚えのある長刀が像に立てかけられている。古道具屋から持ち帰ってからというもの、常にこの刀を肌身離さず持ち歩いている龍伍だが、珍しく今日は置いて出かけたようだ。