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華のしずく~あなた色に染められて~

第30章 【剣(KEN)~華のしずく~】 闇に喚ばれし者

 多分、今も、龍伍はいつもと変わらず子どもたちに笑いかけているのだろう。
―親分、あんたにとって、俺は一体、何だったんだ?
 浅太の胸に言いようもない寂寥感があった。実の兄だと思い、また、龍伍も同じように思ってくれていると信じていた。それなのに、龍伍は、一人で立ち向かおうとしている。 だが、浅太は気づいていない。龍伍が浅太を想うがからこそ、敢えて共に闘おうとは言わないことを。龍伍は、この世での恨み憎しみはすべてこの身に引き受けて逝こうとしている。龍伍にしてみれば、浅太を巻き添えにするには忍びなかったのだ。

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