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華のしずく~あなた色に染められて~

第3章 【華のしずく】~夏雷~

 女の珠々とて、鷹虎の人となり、戦ぶりは噂に聞いて知っている。信成も若いながらも、「戦神」と謳われるほどの勇将ではあるが、将としての器や器量が互角ならば、尚更、経験に富んだ鷹虎に利があるのではないかとも思うのだ。
「でも―」
 不安を訴えようとする珠々の唇に、信成はそっと人差し指を当てた。
「案ずるな。戻って参るときには、見事、鷹虎が首を手みやげに持ち帰ってやる」

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