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華のしずく~あなた色に染められて~

第3章 【華のしずく】~夏雷~

「わしは、無駄な殺戮を無くすためにも、一日も早う天下を取りたい」
 珠々がまだこの城に来たばかりの頃、二人して庭の石榴の樹を眺めつつ、信成は言った。もののふと生まれたからには、一国と言わず、この日の本の国―天下を取ることを夢見ていると彼は語った。
 現実として戦を重ねれば重ねるほど、犠牲になる人の数は増してはゆくが、真の泰平の世を築き上げるには力で諸将に先んじねばならない。

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