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華のしずく~あなた色に染められて~

第3章 【華のしずく】~夏雷~

 藍色の空には相も変わらず、丸い月が浮かんでいる。だが、銀色に輝いていた月は心なしか、白っぽく変じていた。まるで切り紙細工を空に貼り付けたかのようで、その様はいかにも頼りなげに見えた。珠々はふいに心細さにたまらなくなり、俯いた。

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