テキストサイズ

華のしずく~あなた色に染められて~

第3章 【華のしずく】~夏雷~

「殿、私は悪い女子でございます。無益な殺し合いのなき世をお創りになりたいという殿のお望みは尊いものと存じますれど、本当は天下のことなぞどうでも良いのです」
「珠々?」
 訝しげな表情で顔を覗き込む信成に、珠々は弱々しく微笑んだ。
「私にとっていちばん大切なのは、天下ではなく殿の御身の安全だと思うゆえにございます」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ