テキストサイズ

華のしずく~あなた色に染められて~

第3章 【華のしずく】~夏雷~

「お方様、このような物を持って参りました」
 振り向けば、楓が両手に大切そうに桐の箱を抱えている。珠々が眼を見開くと、楓は微笑んだ。
「石榴の実の御利益は食べるのみではござりませぬ」
 楓は桐の箱を開け、内から一幅の巻物を取りだした。どうやら、何かの掛け軸のようである。楓は珠々の前で、さっと巻物をひろげた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ