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華のしずく~あなた色に染められて~

第3章 【華のしずく】~夏雷~

「これは―」
 珠々の瞳が更に大きくなる。楓は珠々を見て、頷いた。珠々の手前には、石榴の実が描かれた掛け軸があった。一本の枝に三個の艶やかな紅い石榴が実っている図柄である。
「石榴の実は食べるだけでなく、お寝間の枕辺に飾っても良いそうにござります。流石に秋にならねば、石榴の実を食することは叶いませぬ。それゆえ、せめて絵図なりともお手許にお飾りなられてはと思いまして、まかりこしましてございます」

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