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華のしずく~あなた色に染められて~

第3章 【華のしずく】~夏雷~

 信成の傍らに常に近侍していた  貞房は家老貞親の弟であり、信成より四歳年長の二十八歳である。貞房は信成に斬りかかってこようとする敵兵を斬り捨てながら、唾を吐き回りの者たちに叫んだ。貞房はいよいよのっぴきならぬ事態になったことを悟り、信成に退却を勧めた。最初は敵に後ろを見せることを渋っていた信成だったが、貞房の説得により数人の信頼できる近習に守られて、ひそかに敗走した。

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