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華のしずく~あなた色に染められて~

第1章 【華のしずく】~出逢い~

 ふいに珠々は激しい腹立ちを覚えた。運良く馬が珠々のすぐ前で止まったから良いようなものの、万が一、うまく御することができなければ、珠々は今頃馬に蹴飛ばされて大怪我をしていたに相違ない。
 いや、まかり間違えば、それこそ馬に蹴られて打ち所が悪くて死んでいたかもしれないのだ。それをいくら相手が武士とはいえ、謝りの言葉一つなく、冷たい眼でねめつけるとは何という礼儀知らずな男なのか。

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