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華のしずく~あなた色に染められて~

第3章 【華のしずく】~夏雷~

「貞房のお陰で一命を長らえたのじゃ。貞親にはたった一人の大切な弟であったに、申し訳なきことになってしもうた」
 信成がいつになく沈んだ口調で言った。
「貞房様のことは私も既に聞き及びおりまする」
 弟の死を聞いた貞親は、「我が弟ながら、天晴れな奴よ」と呟き、溢れる涙を押さえたという。これにより、信成の貞親に対する信頼は益々根強いものとなったことは言うまでもない。

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