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華のしずく~あなた色に染められて~

第3章 【華のしずく】~夏雷~

 薬師の勧めもあり、信成はしばしば傷を癒すために、風呂に浸かった。初めて入った時、珠々もたいそう愕いたものだが、この城には温泉、しかも天然の温泉をそのまま利用した風呂があるのだった。庭の片隅に四阿のようなものをしつらえ、その中に温泉があるのだ。
 この温泉は何代も前の城主が築城する前から、ここにあったという。傷や打ち身、神経痛に効果ありとのことで、今の信成にはうってつけでもあった。

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