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華のしずく~あなた色に染められて~

第1章 【華のしずく】~出逢い~

 だが、次の刹那、珠々はいきなり強い力で抱き上げられた。あまりに咄嗟のこととて、何が起こったのか理解することもできず、ただ茫然としているしか術はなかった。が、自分が若者に抱え上げられ、まるで荷物のように馬に乗せられたことを認識した時、珠々は鋭い悲鳴を上げ放った。
「放して!」
「獲物は大人しいだけより、多少は暴れる方がよい」
 若者は面白げに言うと、抗う珠々には構いもせず馬を駆けさせた。

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