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華のしずく~あなた色に染められて~

第3章 【華のしずく】~夏雷~

「はい」
 貞親は跪いたまま、頭を深く垂れて頷いた。
「一体、何ゆえ、羽柴が今頃使者を送ってくるのであろうか」
 信成は独り言のように洩らし、深い息を吐いた。
「殿―」
 政に口を出すことは珠々自身、固く自戒している。だが、その場の空気があまりに緊張感に満ちていて、珠々はつい信成に呼びかけずにはいられなかった。

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