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華のしずく~あなた色に染められて~

第4章 【華のしずく】~試練~

「どうした、浮かぬ顔じゃな」
 信成が笑顔で問いかけてくる。しかし、その明るさは心なしか随分と無理をしているように見えた。珠々は真剣な面持ちで首を振った。
「殿、どうか真のことをお教え下さりませ。私は殿の妻にございます。殿のお苦しみは私の苦しみでもございますれば」
 信成の視線と珠々の視線が宙でぶつかった。信成はそっと視線を逸らし、苦渋に満ちた表情になった。

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