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華のしずく~あなた色に染められて~

第1章 【華のしずく】~出逢い~

 そこは城の中でも奥まった部分で、領主の私的な部屋らしく、小さな座敷であった。年輩の侍女に連れられてきた珠々をひとめ見るなり、彼は眼を細めた。
「ホウ、思った以上だな」
 脇息にいかにも気だるそうに寄りかかっていた彼の眼が一瞬生気を帯び、光った。珠々は眼前の男の思惑が判らない。いきなり自分を連れ去ったこの男の意図は一体、何なのか。

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