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華のしずく~あなた色に染められて~

第4章 【華のしずく】~試練~

 戦いに生き戦いに殉ずる男の一生―、信成の二十四年間の生涯はけして長いものではなく平安とは無縁ではあったけれど、生命がけで戦場を、数々の修羅場をかいくぐってきたものだった。
「達者でな」
 珠々は信成の顔をじっと見つめた。秀でた額、整った鼻梁、端整な顔立ち―、すべてを永遠に心に刻みつけ、その面影を灼きつけておこうと食い入るように愛する男の顔を見た。

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