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華のしずく~あなた色に染められて~

第4章 【華のしずく】~試練~

 あの時、珠々は信成と真の夫婦となり得たのだと思ったものだけれど、まさかあれからわずか数カ月後に城が落城し、信成が切腹して果てることになるとは想像だにしなかった。城が焼け落ちる音は、あの日、信成に抱かれながら聞いた雷鳴を思い起こさせる。
信成と過ごした日々が珠々の脳裡に、浮かんでは消えてゆく。石榴の樹を眺めながら、笑い語り合った日々は、永遠に炎の中に消えてゆこうとしている。

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