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華のしずく~あなた色に染められて~

第4章 【華のしずく】~試練~

 珠々の眼に新たな涙が湧き上がったが、珠々は、敵兵に涙を見せまいと懸命に耐えた。
―信成様、珠々は、あなたさまのおん名に恥じぬよう、生きて参りまする。
 「生きよ」と言い遺した信成の言葉を胸に抱いて、この試練を乗り越え、最後まで生き抜いてみせる。
―石榴の樹よ、どうか私を見守っていて。
 珠々は手の中の良人の髪を握りしめ、決然と面を上げ確かな足取りで歩んだ。

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